今年中にまた大型資金調達が実現、Rippleはどのようにして400億ドルの評価額を支えているのか？

著者：zhou, ChainCatcher

 

11 月 5 日、デジタル資産およびインフラ企業のRippleは 5 億ドルの戦略的資金調達を完了し、資金調達後の評価額が 400 億ドルに達したと発表しました。これは、同プロジェクトが 2019 年の C ラウンド（2 億ドル、100 億ドル評価）以来、最大規模の外部資金調達であり、6年間で評価額が 4 倍に成長したことになります。

今回の資金調達は Fortress Investment Group と Citadel Securities が共同リードし、Pantera Capital、Galaxy Digital、Brevan Howard、Marshall Wace などが参加しました。これは 2025 年の暗号資産一次市場で3番目に大きい単一取引となり、 Polymarket の10月の 20 億ドル戦略的資金調達と、 Binance の3月の 20 億ドル少数株式取引に次ぐ規模です。

資金の用途について、Ripple は今後も継続的なM&A、RLUSD のグローバル展開、コンプライアンスインフラの構築に重点を置くと述べています。今年に入り、Ripple は 40 億ドルを超える戦略的投資計画を開始し、機関向けブローカーの Hidden Road（12.5 億ドル）、企業資金管理プラットフォームの GTreasury（10 億ドル）、決済インフラの Rail（2 億ドル）、デジタル資産カストディの Palisade（金額未公開）を次々と買収しています。

報道によると、Ripple（別名リップル）は Ripple Labs によって設立された分散型台帳に基づくグローバルなクロスボーダー決済ネットワークであり、あらゆる規模のグローバル金融取引を安全かつ即時、ほぼ無料で実現できると主張しています。Ripple の事業は、クロスボーダー決済ネットワーク（RippleNet）、コンプライアンス対応ステーブルコイン（RLUSD）、エンタープライズグレードのパブリックチェーン（XRPL）、機関向けM&Aエコシステムで構成されています。 RootDataのデータによると、XRP の現在価格は 2.33 ドル、24 時間で 7.2 %上昇、直近1ヶ月で 20 %下落、グローバル時価総額ランキングは第 4 位、総時価総額は 1398 億ドル、流通量は 601 億枚です。

評価額の観点から見ると、400 億ドルの評価は同種プロジェクトの多くを大きく上回っています。公開情報によれば、ステーブルコイン分野ではCircle のニューヨーク証券取引所上場時価総額が約 250 億ドル、Paxos の評価額は約 24 億ドルです。パブリックチェーンインフラ分野では、Polygon の評価額は約 70 億ドル、Sui と Aptos はそれぞれ約 60 億ドルと 45 億ドルです。決済ネットワーク分野では、Stellar の時価総額は約 90 億ドルです。Ripple の高評価の一部は、 XRPL パブリックチェーンと RLUSD の成長ポテンシャルに起因しますが、未上場による流動性プレミアムの影響も受けています。Ripple の社長 Monica Long は、現時点で IPO の計画やスケジュールはないと述べており、これが投資家のエグジットパスの不確実性を長引かせる可能性があります。

事業別に見ると、大規模な資金調達のニュースが発表されたタイミングで、11 月 6 日、Ripple が発行するコンプライアンス対応ステーブルコイン RLUSD の総流通量が初めて 10 億ドル（UTC+8）を突破しました。ローンチからわずか 330 日で、このステーブルコインは DefiLlama のグローバル第 11 位の米ドルステーブルコインとなり、現在の流通量は 10.22 億ドル、そのうちEthereumチェーン上が 8.19 億ドル、XRP Ledger ネイティブ流通が 2.03 億ドルです。

Ripple 社長の Monica Longは、これまでに Ripple が処理した決済量はほぼ 1000 億ドルに達し、 RLUSD は決済フローにおける「主要なステーブルコイン」であると述べています。しかし、 USDT（1830 億ドル）や USDC（760 億ドル）が主導するステーブルコイン市場において、RLUSD のシェアは小さく、流動性競争のリスクが依然として存在します。

XRPL パブリックチェーンについては、 Ripple の技術的中核として、すでに世界 500 以上の金融機関にサービスを提供し、年間取引量は約 950 億ドルに達しています。XRPL は最近、 EVM 互換サイドチェーンを導入し、 Polygon CDK と提携してスマートコントラクト機能を強化しました。XRPL の DeFi エコシステムは比較的遅れており、DefiLlama のデータによると、XRPL DeFi TVL はわずか 7959万ドル（第49位）で、 Solana の 101億ドルやEthereumの747億ドルなど主流パブリックチェーンには遠く及びません。

さらに、本日のニュースによると、Mastercard は Gemini および Ripple と提携し、 XRPL 上の RLUSD ステーブルコインを法定通貨カード取引の決済に利用することを模索しています。Gemini XRP クレジットカードのバックエンド決済は全面的に XRP Ledgerに移行し、 RLUSD を用いて 3 秒で最終決済を実現します。Mastercard は、この提携が規制下の米国銀行がパブリックブロックチェーンと規制されたステーブルコインで従来のカード取引を決済する最初の事例の一つとなり、加盟店のコスト削減が期待できると述べています。

このように見ると、資金調達は RLUSD の成長に裏付けを与え、ステーブルコインの規模がクレジットカードのリアルタイム決済に流動性をもたらし、Mastercard との提携がコンプライアンス対応パブリックチェーンによる従来型レールの代替可能性を証明しています。これら3つの進展が好循環を形成し、 Ripple が「ブロックチェーン版 SWIFT」という構想から、実際の収益駆動型グローバル決済インフラへの転換を示すものとなるかもしれません。

しかし現時点で Ripple は2つの重要な規制イベントに直面しています。1つ目は XRP 現物 ETF の承認進捗であり、Grayscale、Bitwise、Franklin Templeton、WisdomTree、Canary Capital、21Shares、CoinShares など7社が提出した XRP 現物 ETF 申請は、11月4日に一斉に S-1 書類を更新し、従来の無期限延期条項を削除、bitcoinやEthereum ETF と同じ自動発効メカニズムに変更されました。最初の承認は 11 月 13 日から 15 日（UTC+8）に発効する見込みで、Polymarket の予測市場では 2025 年内の承認確率が 99%とされています。

特筆すべきは、REX-Osprey XRP ETF（コード XRPR）が 9 月 18 日に上場し、初日の取引高は 3,770 万ドルに達し、今年の単日初回取引高の最高記録を樹立したことです。今後さらに7本のETFが承認されれば、より多くのコンプライアンス資金が流入し、 XRP の流動性プールが拡大し、長期的には極端な変動の緩和に寄与するでしょう。

2つ目は米国銀行免許の申請であり、Ripple は 2025 年 7 月 2 日に米国通貨監督庁（OCC）に Ripple National Trust Bank の設立申請を提出し、現在 120 日間の法定審査期間中です。最遅で 2026 年 11 月 2 日までに初期結果が出る見込みです。 OCC 公式サイトの最新状況によれば、Circle （First National Digital Currency Bank）は 6 月 30 日に申請し、すでに 120 日間の審査期間を超えていますが、まだ承認されていません。Paxos は 8 月 12 日に申請し、審査中です。Coinbase は 10 月 3 日に申請し、審査中です。

Ripple は比較的早い段階で申請を行った企業の一つであり、もし免許が承認されれば、RLUSD の準備金を直接FRBのメインアカウントに預け入れ、 24/7 リアルタイムで発行・償還が可能となります。Ripple は Anchorage Digital に続き、連邦信託免許を持つ2社目の暗号ネイティブ企業となります。これは XRP ETFと合わせて規制上の二重の追い風となり、機関投資家の採用意欲や資金流入規模の拡大につながるでしょう。

総じて言えば、最近 Ripple には好材料が相次いでいますが、事業を個別に見ると、ステーブルコイン分野はすでにレッドオーシャンであり、XRPLはパブリックチェーンとしての競争力が不足し、クロスボーダー決済事業も依然として伝統的な決済が主流です。多方面からの競争圧力と規制の不確実性の中で、コンプライアンス面での突破やMastercardとの提携があったとしても、400億ドルの評価を維持できるかどうかは、最終的にはデータの実現にかかっており、市場はすでに足で投票しています。