2025年デジタル資産財庫会社（DATCo）レポート

DATCoは、どのようにして周縁的な企業実験から、現在ではBitcoin、Ethereum、さまざまなアルトコインにまたがる1,300億ドル規模の強大な勢力へと成長したのでしょうか？

執筆：CoinGecko

翻訳：AididiaoJP，Foresight News

2020年以降、デジタル資産財庫会社（DATCo）の台頭は、暗号資産分野で最も象徴的な発展の一つとなっています。メディアの注目は主にETF、ミームコイン、次世代DeFiプロトコルに集まっていますが、DATCoは静かに市場で強力な新興勢力となっています。

では、DATCoはどのようにして周縁的な企業実験から、現在ではBitcoin、Ethereum、さまざまなアルトコインにまたがる1,300億ドル規模の強大な勢力へと成長したのでしょうか？

本記事では、デジタル資産財庫会社が今サイクルのスター企業となった経緯を解説します。

要約

• 上場企業は2017年から暗号資産を準備資産に組み入れ始め、Strategyの台頭により純ビジネス型DATCoが注目を集めた。
• DATCoの数は2020年の4社から142社へ急増し、そのうち76社が2025年に設立された。
• DATCoは2025年に合計427億ドルを投入し、その半数以上が第3四半期以降に発生した。
• Strategyはこの分野で主導的地位を占め、707億ドルの資産を保有し、全DATCo暗号資産総額の約50%を占めている。
• DATCo株は最初の10日間で急騰（例：BitMineは3,069%上昇）、その後一般的に調整が見られた。

Strategyの台頭により純ビジネス型DATCoが注目を集める

デジタル資産財庫会社は2017年に初めて登場し、当初は主に上場している暗号資産マイニング企業が中心でした。Strategyは2020年8月に初の純ビジネス型DATCoとして登場し、同様の企業の波を引き起こしました。

2023年末、米国財務会計基準委員会は暗号資産の会計基準を導入し、DATCoが暗号資産を公正価値で評価し、増加分を利益に計上できるようになりました。この政策はDATCoのバランスシートのパフォーマンスを大幅に強化しました。

さらに、米国大統領Trumpの暗号資産に対する友好的な姿勢や、Bitcoinなどの暗号資産価格の急騰が、Wall Street資金の大量流入を後押しし、その中にはDATCoも含まれています。

法定通貨のパフォーマンスが低迷する中、多くの非暗号資産本業の上場企業も、通貨価値下落のリスクヘッジとして暗号資産を準備戦略に組み入れ始めています。

DATCoは2025年10月時点で合計142社、そのうち76社が2025年に設立

最初のDATCoはHut 8 Mining Corpで、2017年11月にトロント証券取引所に上場したBitcoinマイニング企業です。2017年から2020年の間、暗号資産マイニング企業がDATCoの主流形態でした。2020年8月にStrategyが初の純ビジネス型DATCoとして登場しました。

2025年10月末時点で、全DATCoが保有する暗号資産の総価値は1,373億ドルに達し、年初から2倍以上（+139.6%）増加しています。

142社のDATCoのうち、113社（79.6%）がBitcoinを準備資産としており、EthereumとSolanaを保有するのはそれぞれ15社と10社です。米ドル価値で見ると、Bitcoinが全DATCo暗号資産総量の82.6%を占め、次いでEthereum（13.2%）、Solana（2.1%）となっています。

地域別では、米国が最も多く60社（43.5%）を有し、カナダと中国がそれぞれ19社と10社で続いています。日本は8社と少ないものの、注目すべきは第5位のDATCoであるMetaplanetを擁しており、これは米国外で最大規模のDATCoです。

DATCoは2025年に合計427億ドルを投入、半数以上が第3四半期に発生

2025年第3四半期、暗号資産DATCoは新規資産取得に少なくとも226億ドルを投入し、これまでで最大規模の四半期支出となりました。そのうちアルトコインDATCoが108億ドルを占め、全体の47.8%に達しました。2025年初頭以降、DATCoによる暗号資産取得の総支出は少なくとも427億ドルに達しています。

Bitcoin DATCoは最大の買い手であり、2025年初頭以降、合計で少なくとも300億ドル相当のBTCを購入し、全DATCo暗号資産購入額の70.3%を占めています。

Ethereum DATCoは2番目に大きな買い手で、2025年の報告購入額は少なくとも79億ドルです。その大部分は8月に集中し、単月で少なくとも71億ドル相当のETHを購入しました。これはEthereum価格が5,000ドルの史上最高値を記録した時期でもあります。

Solana、BNB、WLFIなど他の資産は2025年の購入全体の11.2%を占めています。今後さらに多くのアルトコインが準備資産に組み入れられることで、この割合はさらに上昇する見込みです。ただし、現時点ではBitcoinとEthereumがDATCoの主力資産となっています。

Strategyは全DATCo暗号資産総額の約50%を占める

Strategyは707億ドル相当のBitcoin保有で、他のDATCoを大きく引き離しています。上位15社のDATCoのうち、アルトコインDATCoはBitMine Immersion（2位）、Sharplink（5位）、Forward Industries（14位）の3社のみです。注目すべきは、この3社はいずれも2025年6月以降にDATCoへ転換しており、資産蓄積のスピードが際立っています。

上位15社のうち、純ビジネス型DATCoが7社、暗号資産マイニング企業は3社のみです。

暗号資産準備を保有する上場企業5社のうち、Teslaを除く4社はすべて暗号資産関連事業を展開しています。

現在、StrategyはBitcoin総供給量の3.05%を保有し、BitMine ImmersionはEthereum総供給量の2.75%、Forward IndustriesはSolana総供給量の1.25%を保有しています。

DATCo株は最初の10日間で急騰、その後一般的に調整

ほとんどのDATCoは転換発表後の最初の10日間で株価が急騰し、その後高値からの反落が見られます。

一部企業の株価は10日間で数十倍に達し、BitMine Immersionのリターン率は3,069%に上りました。

現時点で唯一の例外はMetaplanetで、株価は最初の10日間で約100%上昇したものの、その後269日かけて約6,200%のピークリターンに到達しました。

多くのDATCo株は正式な転換前から大きく変動しており、これは主に初期投資家や内部関係者のみが利益を得られる状況です。このような事例は議論を呼び、米国証券取引委員会や金融業規制局がインサイダー取引の調査を進めています。

しかし、これらの上昇は持続しにくく、ほとんどのDATCo株は転換後数日で大幅に下落しています。例えば、ALT5 Sigmaは転換44日後に株価が71%下落しました。保有するWLFI資産も同様に不調で、上場以来56%下落しています。