大統領選挙後の時代は冷え込まない？23億ドルの資金調達を達成、予測市場がこの戦略で逆転

スポーツが救いの手となった。

執筆：Prathik Desai

翻訳：Chopper，Foresight News

過去1週間、予測市場の2大巨頭が新たな資金調達を獲得した。

米国規制下の予測市場Kalshiは、Sequoia Capitalが主導し、a16zが追随する形で、3億ドル超の新規資金調達を発表し、評価額は50億ドルに達した。この評価額は3か月前と比べて約2.5倍に増加している。今回の資金調達は、Kalshiの事業が大幅に拡大しているタイミングで行われた。現在、同社のサービスは140か国をカバーしており、内部データによると年間取引量は数十億ドルに向かっており、昨年の初期段階から大きな飛躍を遂げている。

一方、暗号ネイティブの予測市場Polymarketは、ニューヨーク証券取引所の親会社であるIntercontinental Exchangeから最大20億ドルの戦略的投資を受け、投資後の評価額は90億ドルに達したことを明らかにした。

ここ数か月、Kalshiの取引量はPolymarketを上回っている。過去7週間のうち6週間で、Kalshiの名目取引量（予測市場の全契約の総価値）がPolymarketをリードしていた。

9月以降、予測市場の週間名目取引量は着実に増加しており、過去4週間の週間取引量はいずれも12億ドルを超えている。昨年の選挙期間中のピークにはまだ達していないものの、全体的なトレンドは20億ドルの大台に着実に近づいている。

現在、KalshiとPolymarketが総名目取引量の96%を占め、絶対的な支配的地位にある。一方、LimitlessやMyriad Marketsなどの小規模プラットフォームも徐々に成長している。

10月6日までの1週間で、Limitlessの取引額は4,400万ドルを超え、Myriad Marketsは600万ドルに達し、1か月前と比べて6倍以上の成長を遂げた。

人気の源は？

選挙ブームが去った後、予測市場のトレーダーたちは人々の日常的な関心事に目を向け始めた。

2024年10月時点では、KalshiとPolymarketの取引量のうち、政治・選挙関連がそれぞれ95%以上、83%以上を占めていた。しかし現在、この構造は徐々にスポーツへと傾いている。

両プラットフォームのスポーツ関連ベット量がすでに主導的地位を占めている。この変化は人間の行動特性に起因している。人々は高頻度かつ短期間のイベントにより関心を持つ傾向がある。

スポーツ分野には短期間のイベントが多数存在する。試合の勝敗、選手のラインナップ、怪我の状況、個人のパフォーマンスなど、これらは無数のマイクロイベントを生み出し、ベッティングに豊富なシナリオを提供する。

この変化はKalshiで最も顕著に現れている。2024年12月には、Kalshiの週間名目取引量に占めるスポーツ取引の割合は5%未満だったが、2025年2月には15%に上昇、3月には90%を突破し、その後の多くの週で80%以上を維持している。

一方、Polymarketのスポーツ取引比率も倍増し、昨年の約15%から現在は40%にまで上昇している。

暗号通貨は予測市場において依然として一定の地位を占めている。大量の取引量を占めているわけではないが、暗号通貨の価格やETF発行時期に関連するイベントは、投機の機会を十分に提供しており、これはPolymarketで特に顕著である。しかしKalshiでは、暗号通貨関連取引が月間で15%の割合に達することはほとんどない。

トッププラットフォームの差別化戦略

KalshiとPolymarketという2大トッププラットフォームの最新の取引カテゴリ比率を見ると、両者は全く異なる戦略を採用していることが分かる。

Kalshiの取引の中心はスポーツに大きく偏っており、次いで政治と暗号通貨が続く。これは同プラットフォームのポジショニングを示している。すなわち、個人投資家の投機ニーズにフォーカスし、このようなニーズには標準化され、ルール駆動型の市場が必要である。例えば、スポーツ以外にも天気、エネルギー、利下げなどのイベントを組み合わせることで、毎週継続的なベッティング機会を確保している。

一方、Polymarketは取引カテゴリをスポーツ、政治、暗号通貨の3本柱で構築している。3つの比率は、現在のニュースイベントや業界動向に応じて調整され、主流市場のストーリーに適応している。

グラフデータからも分かるように、昨年の選挙熱狂の後、予測市場の流動性は消滅することなく、トレーダーが価値があると考えるカテゴリに再配分されている。

これらのカテゴリは、プラットフォームが持続可能なビジネスモデルを構築するのに役立っている。取引が閑散期でもアクティブさを維持できる。しかし、政治は依然としてコア分野の1つであり、選挙、討論、政府政策などのイベントは、季節性があっても取引量の急増を引き起こす可能性がある。

暗号通貨、経済・金融関連市場は重要な補完的役割を果たしている。価格変動、ETF発表、FRB会合、政策決定などのイベントをめぐる取引は、スピード感のある市場を好むアグレッシブなトレーダーを惹きつけると同時に、経済ストーリーの価格付けを望むマクロ志向の愛好家にも応えている。

異なるタイプのトレーダーが投機市場に共存することで、ベットカテゴリはより多様で深くなる。例えば、日曜日のNFLベットは天気予報や天然ガス価格取引と組み合わせることができ、NBA選手の怪我オッズは消費者物価指数（CPI）のレンジや選挙資金調達額の予測と組み合わせることができる。

もし予測市場が価格チェックをスポーツのスコア確認のような習慣にできれば、プラットフォームのユーザー定着率は大幅に向上するだろう。そして、暗号市場でも伝統市場でも、定着率は季節性サイクル依存を打破する鍵となる。

この目標が実現できれば、予測市場に対する一般の認識は変わるだろう。それはもはや特別なイベントだけにフォーカスしたプラットフォームではなく、日常的なイベントの確率を反映するバロメーターとなる。