ロシア産原油の生産量が「崖っぷち」に？IEAが警告：米国によるロシア制裁が「深刻な影響」を及ぼす可能性！

国際エネルギー機関（IEA）は、米国によるロシアへの制裁がロシア原油生産の見通しに「かなりの下振れリスク」をもたらしていると述べたが、さらなる実施の詳細が明らかになるまで、具体的な影響については現時点で見積もらないとしている。

米国は先月、モスクワに対してこれまでで最も厳しいエネルギー制裁を実施し、ロシアの2大石油生産企業である国有のRosneft PJSCと民間のLukoil PJSCをブラックリストに加えた。これらの制限は、クレムリンの輸出収入を減少させ、プーチン大統領をロシア・ウクライナ紛争終結の交渉に参加させることを目的としている。

IEAは木曜日に発表した月次石油市場レポートで、この措置は「これまでで最も深刻な影響を世界の石油市場にもたらす可能性がある」と述べた。「現時点ではロシアの原油フローはほぼ変わっていないが、Rosneft PJSCとLukoil PJSCのグローバルバリューチェーンの崩壊によるリスクは、すでにロシアの国境を越えている。」

現在、パリに本部を置くこの機関は、ロシアの今四半期および来年の平均日産「930万バレル」の原油生産見通しを維持している。IEAは、「実施の詳細や潜在的な回避策がより明確になるまで」この予測を維持するとしている。

プーチン大統領自身を含むロシア当局は、新たな制裁が同国経済や石油取引に「わずかな影響」しか与えないとし、ロシアはこれらの制限に迅速に適応すると述べている。

実際、IEAのレポートによると、ロシアは「新たな石油輸送会社を迅速に設立し、制裁下の船舶を通じてより多くの石油を輸送する能力を示している」。先月、今年5月から運営を開始し、いかなる制裁リストにも載っていない3社の新会社が、約「日量100万バレル」のロシア原油および石油製品を輸出した。

レポートは、この柔軟性を考慮すると、ロシアの世界市場への石油供給は「主要な買い手の実施力と購買判断」に依存することになると指摘している。

IEAによれば、これまでのところロシアの石油輸出は「ほぼ減少していない」が、既存の買い手が潜在的なリスクを評価しているため、海上輸送される石油の量は増加している。しかし、レポートは、最新の米国による制限措置は「これまでの制裁よりも強力であるようだ」とし、これはロシアからインドへの供給減少からも見て取れると述べている。

IEAのデータによると、10月にロシアは合計「日量740万バレル」の原油および石油製品を輸出し、前月よりわずかに減少した。ロシア原油価格の下落により、石油輸出総収入は「131億ドル」となり、過去5か月で最低水準となった。

ロシア原油価格の下落はクレムリンにとって大きな問題であり、ロシアの総収入の約「4分の1」が石油および天然ガス税収に依存している。モスクワ政府は、2025年の同産業からの税収がパンデミック以降で最低水準になるとすでに予測している。

プーチン大統領が軍事支出削減の意向を示していないため、ロシアの今年の財政赤字は過去最高の「5.7兆ルーブル」（703億ドル）、国内総生産の約2.6%に達すると予想されている。

一方で、IEAは木曜日の月次石油市場レポートで、今年および来年の世界の石油供給増加予測を上方修正し、2026年には世界の石油市場がさらに大きな供給過剰となることを示唆した。

IEAは「世界の石油市場のバランスはますますアンバランスになっており、世界の石油供給は前進し続けている一方で、石油需要の伸びは歴史的な基準から見ても依然として穏やかだ」と述べている。

同機関は現在、2025年の世界の石油供給が日量約310万バレル、2026年は日量250万バレル増加すると予測しており、いずれも前月の予測から約10万バレル上方修正している。

供給が需要を上回るため、IEAの11月レポートは、2026年の世界の石油供給が総需要を日量409万バレル上回ると示唆しており、これは前月レポートの397万バレル/日から増加している。