なぜ伝統的資産は2025年に暗号資産を全面的に上回るのか？

作者：律动小工

原題：コイン投資1年、母のA株投資の方が儲かった

これは「何でも値上がりする」年であったが、暗号資産業界は「最も稼ぎにくい年」と広く認識されている。

過去数年と比べて、2025年は珍しい「瑞年（好景気の年）」のようだ。米国株のナスダック指数は再び最高値を更新し、A株のコア資産も回復、金は史上最高値を更新し、コモディティも一斉に反発、ほぼすべての市場が上昇している。

唯一、暗号資産業界だけは、bitcoinが史上最高値の12万ドルに到達しても、多くの人が「最も稼ぎにくい年」と嘆いている。友人が家族の今年の投資について話すと、「今年はコイン投資のリターンが、母のA株投資に全く及ばなかった」と言う。

A株：10年に一度の主上昇波

「今年、私自身も家族のA株口座も、勝率は100%です。」杭州のある大学で20年以上A株市場を研究・教授している蔡教授は、律動BlockBeatsにこう語った。

「株式市場の全体的な動きが強く、大多数の投資家が利益を上げています。過去数年と比べて、今年は株で稼ぐのがはるかに簡単です。高値追いをせず、上場廃止株を買わなければ、何を買っても基本的に儲かります。違いは儲けの多寡だけです。」

蔡教授の経験が「ベテランの直感」だとすれば、彼の学生たちのデータはさらに説得力がある。「私とよく交流する学生の中には、多くが大きく儲けています。20銘柄以上を売買した学生でも勝率は100%です。」

データもこの「全面高」相場を裏付けている。

今年の第1～第3四半期、中国で最も主流の業種分類基準である申万1級業種分類の31セクターのうち、28セクターが上昇し、9割を超えた。Windのデータによると、年内に上昇した銘柄の割合は80%を超え、448銘柄が株価を倍増させた。

「A株の今年の相場にはもう一つ特徴があって、出来高も価格も共に上昇しています。値上がりだけでなく、取引量も非常に大きく、特に第3四半期は連日取引額が2兆元を超えました。」長年A株取引をしている投資家の卓辰は、律動BlockBeatsにこうまとめた。

主板市場と比べて、創業板と科創板の上昇はさらに激しかった。

「今年はAIセクターがリードしたので、関連する創業板指数や科創50なども今年は50%以上上昇しています」と卓辰は語った。

代表的な銘柄は「上緯新材」で、今年A株市場で初の「20倍妖株」となった。

「これは元々科創板の化学企業で、株価上昇の理由は、公告で筆頭株主が智元恒岳に変更されたことです。智元恒岳は智元ロボティクスと密接な関係があり、AIセクターに乗ったのです。」

律動BlockBeats注：智元ロボティクスは「具身知能」分野のスター企業で、Huaweiの元「天才少年」彭志輝（稚晖君）と元副総裁の鄧泰華が共同創業。

このニュースが市場の想像力をかき立てた。SNS上では「智元ロボティクスの裏口上場」「A株版NVIDIA」などのタイトルが次々と現れた。会社側はその後、短期的な資産再編計画はないと何度も説明したが、熱狂はすでに広がっていた。

わずか17取引日で、株価は一桁から急騰し、13倍以上の上昇となった。9月25日時点で、上緯新材の年初来上昇率は2030%を超え、2025年A株市場で初の「20倍株」となった。

蔡教授によれば、今年のA株市場の急騰は異常ではないという。

「下がりすぎたら上がるものです。時間軸で見ると、A株市場は約10年ごとにブル相場が来ます。昨年はベアからブルへの転換期で、今年はブル相場の主上昇波の年です」と蔡教授は語った。

2005年のブル相場では、上海総合指数が2004年の998ポイントから2007年の6124ポイントまで上昇。2015年のブル相場では、2013年の1849ポイントから2015年の5178ポイントまで上昇。これら2回のブル相場の間隔はほぼ10年で、また新たな10年が巡ってきた。

「さらに、今年はほぼすべての海外市場も全体的に非常に好調です」と蔡教授は補足した。「日本からドイツ、イギリス、インド、アメリカ、カナダなど主要市場がすべて史上最高値を更新しました。」

香港株：象も方向転換できる

米国株を見る前に、まず香港株を見てみよう。

執筆時点で、ハンセン指数の年初来上昇率は約29%、9月には一時26000ポイントを突破し、4年ぶりの高値を記録した。

テック大手が再びこの相場の主役となった。Alibaba、Tencent、Meituan、Xiaomiなどのインターネットセクターが全体をリードし、ハンセンテック指数を押し上げた。

「象は方向転換しにくい」と言われるが、今年の相場は例外だった。

例えば、今回のAlibabaの上昇は、多くの人が当初それほど期待していなかった。過去数年で大きく下落し、中概インターネット株低迷の代名詞となっていたからだ。

しかし年初から、Alibaba Cloud事業は2四半期連続で2桁成長を達成し、第2四半期は前年同期比26%増で過去3年の最高を記録、AI事業も8四半期連続で3桁成長を維持。株価にも反映され、Alibabaの株価は年初来で倍増し、大型企業の中で最も輝く存在となった。

一方、Tencentも負けていない。2025年第2四半期、Tencentの国内ゲーム収入は前年同期比24%増、広告事業もAIアルゴリズムの最適化で20%増加。2024年からは自社株買い規模を1120億香港ドルに拡大し、過去10年で最大となった。Tencentの株価も今年50%以上上昇し、香港株の時価総額は6兆香港ドルに回復、3年間で約3倍の上昇となった。

さらに、今年の香港株市場で特筆すべきは新規上場（IPO）市場の儲けやすさだ。

「今年のIPOで一単位当たれば、他人が半年かけて稼ぐ額を一気に稼げる。」これはArezが律動BlockBeatsとの会話で最初に言った言葉だ。

データがすべてを物語っている。

2025年第1～第3四半期、香港株は68銘柄が新規上場し、そのうち48銘柄が初日に上昇、4銘柄が横ばい、16銘柄のみが公募価格割れで、初日の公募割れ率はわずか24%、2017年以来の最低となった。

特に下半期、7月から9月に上場した24銘柄のうち、初日公募割れはわずか3銘柄で、儲けやすさは一目瞭然。それに伴い、初日のリターン率も大幅に上昇し、平均28%で昨年のほぼ3倍となった。

「香港株IPOの儲けやすさは2024年下半期からすでに現れていました。例えば毛戈平は上場初日に70%上昇し、IPO小春相場を開きました。今年はさらに大きな相場です。」

Arezは半年前にも律動BlockBeatsと交流しており、暗号資産プロジェクトのアービトラージが不調だったため、彼らのスタジオは香港株IPO専門チームを設立し、IPO申込案件を担当した。

「その後、ブルコ、蜜雪、沪上阿姨、寧王、映恩生物などの当たり銘柄を次々と獲得しました。今年のIPOは10万元以上稼ぐのが非常に簡単です。例えば映恩生物のような大型当たり銘柄は一単位で1万元稼げますし、多くの銀行や証券会社は10倍のレバレッジを提供してくれるので、資金効率も非常に高いです」とArezは語った。

「さらに、今年はA+HモデルのIPOが特に多く、運用も非常に安定しています。」今年は複数のA株大手企業が香港に上場し、例えば寧徳時代、恒瑞医薬など。A株ですでに成熟した価格設定があるため、香港株での発行時には一般的にディスカウントがあり、この「バリューセーフティクッション」によりIPOリスクが大幅に低下した。

「例えば寧徳時代のIPOでの利益は、まるで拾い物のようです」とArezは笑いながら律動BlockBeatsに語った。「みんな香港株のディスカウントは知っていましたが、ここまで美味しいとは思いませんでした。」

儲けやすさが顕著になるにつれ、香港株IPOは「全民化」傾向すら見せている。昨年と比べて、今年の香港株IPOは明らかに盛り上がり、超過申込は100倍時代から1000倍時代に突入。「最も極端なのは大行科工で、超過申込は8000倍近くに達しました。」

統計によると、2025年第1～第3四半期、香港株は68銘柄が新規上場し、そのうち98%が超過申込を獲得、86%の新株が超過申込倍率20倍を超え、この割合は昨年同期の2倍となった。申込倍率1000倍超は15銘柄で、全体の約4分の1を占める。

中でも大行科工は7558倍の公開発行有効申込倍率で独走し、今季の「申込王」となった。ブルコ、銀诺医薬がそれに続き、それぞれ5999倍、5341倍の申込熱を記録した。このような背景の下、香港株IPOは新世代の「ノーリスク資産運用」となっている。

金：誰もが確実性を求めている

資本のもう一方の極は、金の急騰だ。

年初の1オンス2590ドルから始まり、金は1月3日に年内安値を付けた後、上昇を続け、何度も史上最高値を更新し、現在は4100ドル付近で安定、年初来上昇率は58%を超えた。

S&Pグローバル金鉱株指数は累計129%急騰し、S&P傘下の全業種指数で最も好成績のセクターとなった。銀の価格も数十年ぶりの高値となり、今年は累計70%以上上昇した。

この貴金属ブル相場を牽引したのは、リスク回避だけではない。米国政府のシャットダウンリスク、各国中銀の継続的な買い、主権債務膨張への懸念——すべてのマクロストーリーが同じ方向を指している：資金はより安全な容器を探している。

「金鉱株にとって、今年は素晴らしい年です。彼らは現金を持ちすぎて、どう使うか困っているほどです」と卓辰はインタビューで嘆いた。

A株金鉱時価総額1位の紫金鉱業は、この盛宴の代表だ。

第3四半期末時点で、同社の売上高は2542億元、純利益は378.64億元。A株と香港株の時価総額を合算（A+H総時価総額）すると、紫金鉱業の総時価総額は1兆元人民元を超えた。

出典：紫金鉱業第3四半期報告

こうして8月末、紫金鉱業は巨額を投じて安徽金沙モリブデン業の84%株式を買収し、世界第2位のモリブデン鉱山——沙坪溝モリブデン鉱山（年産能力1000万トン）を手に入れた。

この取引により、中国は世界のモリブデン資源の3分の1を直接掌握することとなった。

ほぼ同時期、紫金傘下の「紫金黄金国際」は9月30日に香港証券取引所に上場し、初日で株価が倍増、年内2番目の大型IPOとなった。

A株の金鉱セクターだけでなく、今年最も上昇した米国株セクターも金鉱株だった。

データによると、今年に入ってからNewmont株は137%上昇、Barrickは118%、Agnico Eagleは116%上昇した。対照的に、米国株AI分野のスター企業NVIDIAは40%、Oracleは72%、Google親会社Alphabetは30%、Microsoftは25%の上昇だった。

米国株の金鉱セクターの上昇は目立つが、今年の米国株全体の上昇をカバーするには十分ではない。

Meme米国株の復活

10月下旬時点で、米国株3大指数は年初来でいずれも20%以上上昇し、S&P500指数は10月8日に6753.72ポイントの史上最高終値を記録。NVIDIAの時価総額は4兆ドルを突破し、Microsoft、Meta、Appleも史上最高値を更新した。

これらの主流米国株以外にも、Redditの「WallStreetBets」や「StocksToBuyToday」などの米国株チャンネルによく出入りするMattは、フォーラムで新たなMeme株ブームの復活を目撃し、今年の米国株のMeme株をいくつか律動BlockBeatsにシェアしてくれた。

「過去3カ月のナスダック最大のMeme株はOpenDoorだと思います。これはかつてのGameStopに似ています。7月は245%上昇、8月は141%、9月は79%、株価は0.5ドルから最高10.87ドルまで上昇し、最大上昇率は2000%です。」ここでMattの声は明らかに興奮していた。

面白いのは、この即時不動産取引会社は設立以来ずっと赤字で、株価は2021年の高値35.8ドルから2025年6月には0.5ドルまで下落し、ナスダックから上場廃止警告も受けていた。

「転機は、著名投資家がSNSでOpenDoorには100倍株の可能性があると発言し、RedditのOpen Armyという個人投資家グループが一気に株価をロケットのように押し上げました。彼らはOpenDoorを新たなMeme株として祭り上げ、ついには取締役会の改組まで成功させました。」

Mattが最近参加したもう一つのMeme株はBeyond Meatで、かつての「人工肉リーダー」だが、数日で株価が1100%急騰した。「これもずっと赤字で、機関投資家の空売り比率は80%にも達していました。しかし機関が悲観的なほど、個人投資家は好む。これが個人投資家の力です。」

興味深いのは、今年最も目立った米国株セクターの一つが、依然として暗号資産関連だった——ただし暗号資産そのものではない。

「bitcoin関連株」の華々しいパフォーマンスと比べ、bitcoin自体の上昇は見劣りした。年内に史上最高値を更新したものの、年間上昇率は約15%にとどまった。

暗号資産業界の失速

価格があるものは、永遠に上がり続けることはできない。

暗号資産業界は、何度ものストーリー展開を経て、今や「主軸のない市場」となった。

伝統的な資本市場がAI、エネルギー、製造業で新たな成長ロジックを見出す一方、暗号資産業界は自己循環の文脈に閉じ込められている。

取引量の減少が最も端的な証拠だ。2025年第3四半期、世界の暗号資産中央集権型取引所の現物取引量は前年同期比32%減少。個人投資家の熱意は薄れ、マーケットメイカーも積極性を失い、市場の深度も低下した。

オンチェーン資金は静まり、トークン価格は横ばい、プロジェクト側も沈黙。SNS上でも、トラブルを起こした取引所への非難すら減った。

一攫千金の神話に満ちた暗号資産業界の人々は、「自己搾取の主体」となった。24時間365日チャートを見張り、「チャンスは待ってくれない」から。エアドロップを必死に狙い、草コインに突撃し、トレンドを追い、「努力しなければ淘汰される」と思い込む。損をすれば「自分が賢くなかった」と責め、儲けても「まだ足りない」と感じる。

2025年も3四半期が過ぎ、努力が報われず、疲労感が必然となった。

「去るべき人は去り、残った人ももう賭けたくない。」Arezの暗号資産業界への悲観は、多くの人の気持ちを代表しているようだ。「2024年はまだオンチェーンでチャートを見ていたが、今年は取引所を開く気すら起きない。」

今年の暗号資産業界は確かに負けた。しかし、それはサイクル内で必然の戦いだった。

マクロ環境が伝統資産に明確な上昇ロジックを与え、規制強化で投機コストが上昇し、ストーリーが尽きて新規資金が入らなくなれば——暗号資産業界の低迷はほぼ必然だ。

だが、これで暗号資産の物語が終わったわけではない。

「中国の国運を信じるなら滬深300に積立、中国のテクノロジーブレイクスルーを信じるなら科創50に積立、米国の国運を信じるならS&P500に積立、人類のテクノロジー革命を信じるならナスダックに積立、人類がいずれ滅びると信じるなら金に積立。」これは最近Twitterで流行っている言葉だ。

すべての資産の背後には、それぞれの信念がある。暗号資産業界の信念も、おそらく新たな時代と人々によって再び書き換えられる必要があるだろう。