ビットコインに特化したフィンテック企業ブロック（Block Inc.）は14日、採掘機（マイニングリグ）の寿命を延ばし、運用コストを削減する新たな仮想通貨採掘システムを発表した。施設維持に多額の資本を必要とするマイナーにとって追い風となる可能性がある。
今回の 発表 の中心となるのは「プロトリグ（Proto Rig）」で、従来3〜5年とされる採掘機のライフサイクルを10年以上に延ばすことを目指したモジュラー型ハードウェアだ。従来のようにユニット全体を廃棄するのではなく、技術進歩に応じてハッシュボード単位で交換できる設計で、1回のアップグレードコストを最大20％削減できる可能性がある。
ブロックはさらに、大規模採掘事業者向けのオープンソース型運用管理プラットフォーム「プロトフリート（Proto Fleet）」も発表した。
今回の発表は、ブロックがマイニングハードウェア分野へ進出する流れの延長線上にある。同社は2024年4月に3ナノメートルのビットコイン採掘チップを開発し、その後コア・サイエンティフィックと供給契約を締結していた。
コインテレグラフによると、ビットコイン採掘は依然として資本集約型の産業であり、業務用リグは1台1万ドルを超えることも珍しくなく、さらに稼働には多大な電力が必要だ。現在の価格水準では、採掘企業は1日あたり5,000万ドル超のビットコインを生産しているが、収益性は電力コストや採掘難易度、ハードウェア効率などの変動要因に左右される。
業界の初期反応は概ね好意的で、コモド・プラットフォームの最高技術責任者カダン・スターデルマン氏は「ブロックのオープンソースのアプローチは、ビットコイン本来の分散型理念に合致する」と評価した。
「従来の採掘機は3〜5年で寿命を迎え、廃棄されてきた。マイナーはビットメインのような独占的メーカーからの高額なアップグレードを繰り返し強いられてきた。ブロックはモジュラー設計を提供し、より長寿命かつラック当たりの処理能力を高めた。これはビットコイン採掘の民主化につながり、この業界が10年以上求めてきたものだ」と述べた。
AIブームで収益機会を広げるマイナー
複数の採掘企業が、高性能コンピューティング（HPC）や人工知能（AI）向けの業務にインフラを転用することで収益拡大を図っている。ビットコインの価格上昇を見込み、採掘したコインを売らずに保有する戦略を取る企業もある。
買収前のコア・サイエンティフィックは、苦境にあったマイナーがAI事業へ転換する事例となった。同社は2022年の弱気相場で連邦破産法第11章の適用を申請したが、2年足らずでコアウィーブから35億ドルの支援を受け、その後2024年7月にコアウィーブが90億ドルで買収した。
また、仮想通貨マイナーのハイブ・デジタルは2022年にHPC事業へ舵を切り、翌年には収益計上を開始。以来、HPCとAI分野への進出を加速させつつ、ビットコイン採掘にも強気姿勢を保っている。
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