ド・クォン氏、テラUSDとルナの崩壊を巡る詐欺罪で有罪を認める

400億ドル規模の仮想通貨破綻で重大な転換点

Terraform Labs （テラフォームラボ）共同創業者のド・クォン（Do Kwon）氏が、2022年に起きたステーブルコイン「テラUSD（TerraUSD/UST）」とTerraブロックチェーンのネイティブステーブルコイン「ルナ（Luna/LUNA）」の暴落に関し、米国で有罪を認めた。

マンハッタン連邦地裁で通信詐欺と詐欺共謀の2件について認罪し、1,900万ドル（約27.9億円）超の資産放棄に同意。法定刑の上限は25年だが、検察は12月の判決で最長12年の求刑方針を示している。クォン氏は「私の行為は間違っており、謝罪したい」と述べ、昨年（2024年）12月の無罪主張を撤回した。年齢は33歳で、モンテネグロからの送還後に方針を転換した。

崩壊の経緯と投資家への影響

USTは米ドル連動を想定したアルゴリズム型ステーブルコインで、ピーク時には世界最大級の規模となったが、2022年にルナとともに急落し、時価総額は数百億ドル規模で失われた。

検察は、Terraformの製品が宣伝どおりに機能しなかったにもかかわらず、同氏が自己保有コインの価値を高めるため積極的に宣伝したと指摘。崩壊はその年の「仮想通貨の冬」の引き金となり、FTXの破綻など市場混乱へと連鎖。韓国では個人投資家が大きな損失を被り、金融破綻や自殺報道が社会問題化した。

判決見込みと法的影響

今回の有罪答弁には、通信詐欺と詐欺共謀が含まれ、上限25年の量刑が想定される一方、検察は最長12年の求刑で臨む見通しだ。

ポール・エンゲルマイヤー（Paul Engelmayer）連邦地裁判事は、米国籍を持たない同氏が刑期終了後に国外退去となり、長期の入国制限を受ける可能性に言及。Terraform Labsは別件で、 SEC （米証券取引委員会）が提起した民事詐欺訴訟において45億ドル（約6,609.6億円）の支払いに同意している。

クォン氏は2023年3月、コスタリカの偽造パスポートでUAEへ渡航しようとしてモンテネグロで逮捕され、韓国も身柄の引き渡しを求めていた。

関連する主要事件

仮想通貨ミキサーTornado Cash（トルネードキャッシュ）の共同創業者ローマン・ストーム（Roman Storm）氏は、10億ドル（約1,468.8億円）超の不正資金洗浄で有罪判決を受けた。

仮想通貨ブローカー「Samourai Wallet」の経営陣も、2億ドル（約293.7億円）超の犯罪収益取り扱いで有罪を認めている。Terraformの投資家には バイナンス （Binance）創業者ジャオ・チャンポン（趙 長鵬：Zhao Changpeng）氏が含まれ、同氏は米国でマネーロンダリング（資金洗浄）防止義務違反について有罪を認めている。クォン氏の判決は12月に予定されており、国際的な法廷闘争の一章が区切りを迎える見込みだ。