FinCEN、新たな通知で仮想通貨ATM詐欺の増加を警告

FinCENが仮想通貨ATM詐欺の増加を警告

FinCENは金融機関に対し、仮想通貨ATMは、特に高齢者を標的とした麻薬取引による収益の洗浄や詐欺に悪用されるケースが増えていることから、仮想通貨ATMを厳重に監視するよう警告した。

FinCEN（米国金融犯罪取締ネットワーク）は2025年8月4日（月曜日）、仮想通貨ATM、別名仮想通貨キオスク（CVCキオスク）に関連する不審な活動に警戒するよう 警告 。「CVCキオスクは消費者にとってCVCを利用する簡単で便利な手段である一方、詐欺師を含む違法行為者にも悪用されている」と述べた。

仮想通貨ATMは一般的なATMと同様に機能。顧客はATMのような端末を通じて法定通貨を仮想通貨に交換。FinCENは今回の警告に際して次のように述べている。

仮想通貨ATMは、消費者が仮想通貨を利用するためのシンプルで便利な手段である一方、詐欺師やその他の違法行為者もその簡便性と利便性を悪用する可能性がある。

国内外の犯罪組織によってますます利用される

2024年7月に実施されたOCCRP（Organized Crime and Corruption Reporting Project：組織犯罪腐敗報道プロジェクト）の調査では、仮想通貨ATMが国内外の犯罪組織によって高齢者を搾取するためにますます利用されていることが警告された。

この報告書にてFBI（米国連邦捜査局）は、問題の範囲に関する初の全国的な推計を発表。仮想通貨ATMを利用した詐欺による損失が2023年には1億2,000万ドル（約176.6億円）を超えると示唆。FinCENは4日付の同通知で、問題の範囲に関する新FBIデータポイントを示した。FBIのインターネット犯罪苦情センター（IC3）は、仮想通貨ATMが関与する詐欺または犯罪計画に関する苦情を10,956件受け、被害者の報告された損失は約2億4,670万ドル（約363億円）に上るFinCENは通知の中で、「2023年と比較して苦情件数が99%増加し、報告された被害者の損失が31%増加している」と指摘している。

FinCENは2019年に仮想通貨ATMについて警告を発していたが、当時の警告は違法行為者が麻薬販売による収益などの不正利益を洗浄するために仮想通貨をどのように利用しているかという文脈においてである。

新たな通知では、銀行秘密法（BSA）の情報の分析により、疑わしい麻薬収益の洗浄に仮想通貨ATMが利用されていることが確認されたと指摘。FinCENは、麻薬取締局（DEA）の報告によると、カルテル・ハリスコ・ヌエバ・ジェネラシオンなどの国際犯罪組織は、迅速な国際送金を可能にするため、CVCの導入を増やしていると警告したうえで、次のように述べている。

麻薬関連の脅威が深刻で、仮想通貨ATMが多数設置されている地域では、国際犯罪組織は大量の現金密輸の代替手段として、仮想通貨ATMを通じて資金洗浄を行う可能性があります。

金融機関が注意すべきいくつかの危険信号に言及

12ページにわたる警告通知では、金融機関が注意すべきいくつかの危険信号が特定され、現金や仮想通貨の移転に関する不審な活動を報告するという連邦政府の要件について金融機関に改めて注意喚起がなされている。

FinCENのアンドレア・ガッキ（Andrea Gacki）局長は、犯罪者が新たな技術を悪用するために急速に適応しており、犯罪者は被害者から金銭を盗むために容赦なく行動し、仮想通貨ATMのような革新的な技術を悪用する方法を学んでいると述べている。

詐欺師は、多くの場合海外に潜伏し、被害者の信頼を獲得した後、地元の仮想通貨ATMで仮想通貨に換金したうえで、預金や送金を促す。なお、OCCRPの2024年の報告書によると、仮想通貨ATMは貧困地域のガソリンスタンドやコインランドリー、その他人通りの多い店舗に設置されていることがわかっている。