ビットコインのレイヤー2スケーリングプラットフォームであるライトニングネットワーク（LN）は、今後数年間でステーブルコイン取引量の急増を迎える可能性がある。業界専門家によると、個人投資家および機関投資家の採用が進むことで、ネットワークの利用が飛躍的に拡大する見通しだ。
ライトニングネットワーク決済プロバイダーであるボルテージの創業者兼CEOであるグラハム・クリーゼック氏はコインテレグラフに対し、「3年以内にステーブルコインの世界取引量のうち最低でも5％がライトニングネットワーク上で処理されるようになる」と述べた。
現在、ステーブルコインの1日あたりの取引量は約1800億ドルに 達しており 、仮に5％がLN上で処理されれば、約90億ドル相当がLNで取引されることになる。今後、米国での GENIUS法 など、世界各国でステーブルコイン規制が導入されるにつれ、取引量はさらに増加する可能性が高い。
クリーゼック氏は、ステーブルコインの導入がLN普及の起爆剤になると見ており、「ライトニングはステーブルコインにとって最も優れたスケーラビリティ手段だ」と語った。現時点でLN上のステーブルコイン活動は限定的だが、今後急速に変化すると予想される。
「テザーやサークルなどの大手はまだLNでのサービスを開始していないが、2025年後半には取引量が拡大するだろう」と同氏は述べている。
すでに動き出している可能性もある。最大のステーブルコイン発行者であるテザーは2025年1月、ビットコインにネイティブなLNサポートを備えたUSDTの導入を 発表している 。また6月にはライトニングラボが、LN上でステーブルコインを扱うための「分散型FXレイヤー」となるべく、Taproot Assetsの最新版（v0.6）を 公開した 。
テザーのパオロ・アルドイノCEOも、ブロックチェーンの「グローバルな共有状態」にはスケーラビリティの限界があると述べ、P2P設計のLNこそが大規模なステーブルコイン取引に最適なプラットフォームだと評価している。
「LN上のUSDTは、大規模取引に最適な手段だ」とアルドイノ氏は 4月のインタビュー で語った。
ライトニング採用の原動力
クリーゼック氏は、LNの普及を牽引するのはリテール層と開発者であり、「エッジケースは開発者が構築しており、リテール層は常にLNを利用し、試し、探求している」と述べた。
また、リテール層が企業に対してLN対応を求めているため、取引所などの事業者がLNサポートを導入する動きが広がっているという。加えて、機関投資家の関心も高まりつつある。
「伝統的な金融機関もリスク管理や運転資金アクセス、チャージバック回避の観点からLNの価値に気づき始めている。ただし、まだ初期段階だ」と同氏は指摘した。
LNはコスト削減と高速決済のメリットから取引所による導入が 進んでおり 、Cash AppではLNがBTC決済の25％を占めているという。
「ビットコインを扱うすべての事業者は、将来的にLN統合を行う。即時決済は、すべての決済手段で当然の要件になる」とクリーゼック氏は語った。
LNのネットワーク容量は3820BTC
Amboss によると、現在のライトニングネットワークは1万4000ノード、4万4800チャネルを有し、ネットワーク容量は3820BTC、約4億4800万ドルに達している。
Bitcoinvisuals も同様の数字を報告しているが、LN上のロックされたBTC流動性（ネットワーク容量）は2025年初頭から23％減少している。
クリーゼック氏は「チャネルの総数は減少しているが、大規模なチャネルが構築されており、資本効率が向上し、ネットワークが最適化されている証拠だ」と分析している。
同氏によれば、LNへのアクセス数（取引所、ウォレット、ネオバンク、決済プラットフォーム経由でアクセス可能なユーザー数）は現在7億人を超えており、前年比で倍増しているという。
ボルテージはインフラ提供者として、ウォレット開発者がLN上でステーブルコイン機能を統合できるよう支援する役割を担っている。
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