ロシア最大の証券取引所であるモスクワ証券取引所（MOEX）は、ブラックロックが運用する「iシェアーズ・ビットコイン・トラストETF（IBIT）」の先物取引を開始した。IBITは現在、運用資産残高（AUM）で世界トップ25の上場投資信託（ETF）にランクインしている。

MOEXの発表 によると、IBITに連動する先物契約は6月4日から取引可能となった。この新たな投資商品は認定投資家のみに提供される。

ブルームバーグの上級ETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏によれば、IBITのAUMは724億ドルに達しており、世界のETFトップ25に名を連ねる規模にまで成長している。

ロシアで続々と登場する仮想通貨商品

今回のIBIT先物の上場は、ロシア中央銀行が5月に金融機関による認定投資家向けの仮想通貨商品の提供を承認して以降、同国で登場した最新の仮想通貨投資商品となる。

この承認を受け、スベル銀行やTバンク（旧ティンコフ銀行）といった主要商業銀行は、ビットコイン（BTC）をはじめとする仮想通貨に連動した投資商品を 提供し始めた 。

一方で、ロシア中央銀行は仮想通貨への直接投資について慎重な姿勢を崩しておらず、個人投資家によるデジタル資産市場への参加は控えるよう呼びかけている。

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個人投資家からは不満の声も

IBIT先物のような商品が認定投資家に限定されていることから、多くの個人投資家はこうした動きに否定的な反応を示している。

テレグラムの DeCenterチャンネル では、「米国の本物のETFではなく、ただのコピーにすぎない。仮想通貨市場には何の影響もない」といった批判的なコメントも見られた。

また別の投稿者は、「MOEXでETFを買うくらいなら、バイナンスなどの取引所で直接仮想通貨を取引する方がマシ」と 述べている 。

MOEXの公式データ によれば、2025年5月時点でMOEXにブローカレッジ口座を持つ個人は3690万人。そのうち少なくとも360万人が月内に株式市場で取引を行い、うち31万5000人が認定投資家とされている。

IBITはETF界の「最年少エリート」に

IBITは2024年1月の上場以来、急成長を続けており、2025年6月3日には運用資産残高で世界トップ25にランクインした。これはわずか1年半での快挙となる。

ブルームバーグのバルチュナス氏はXで「IBITは1.4歳で、リストのなかで他のETFの9分の1の年齢。まるでティーンや20代に混じる赤ん坊のようだ。IBITに関する最も狂ったデータかもしれない」とコメントした。

モスクワ証券取引所がIBIT先物を上場 ロシアで仮想通貨投資商品の展開進む image 0  2025. Source: Eric Balchunas

IBITは歴史的な上場以来、数々の記録を打ち立ててきた。2024年最初の3か月間だけで155億ドル近い資金流入を 記録し 、ETF史上最長クラスの連続流入記録を打ち立てたトップ10に名を連ねた。

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