World、WLDトークン売却で約1.35億ドル調達｜米国事業拡大へ

暗号資産（仮想通貨）プロジェクトのWorld Networkは21日、WLDトークンの私募を通じて1.35億ドル（約197億円）を調達したと 発表した 。

この資金は主に米国市場での事業拡大と、バイオメトリックデータを活用した本人確認システム「World ID」のグローバル展開に充てられる計画だ。

Worldの資金調達状況

Worldは2023年に旧Worldcoinから名称を変更した アルトコイン プロジェクトで、人間と人工知能（AI）を区別するためのデジタルID基盤開発を進めている。

同社は独自のデバイス「Orb」を使い、虹彩認証による個人識別を推進してきた。

今回の資金調達では、アンドリーセン・ホロウィッツ（A16Z）やベインキャピタルクリプトといった大手ベンチャーキャピタルが中心となり、Selini CapitalやArctic Digitalも参加した。

この私募によりWLDトークンの流通量は約15.1億枚となった。トークンの総発行上限は100億枚とされており、今回の増加がプロジェクトの流動性向上にも寄与している。

WLDトークンの販売価格は1枚あたり1.21ドル（約176円）で、発表後には価格が一時15％上昇するなど市場の関心の高さがうかがえた。

米国進出とグローバル戦略

今回調達した資金は、米国での事業展開を本格化させるほか、本人確認システム「World ID」の各国導入を促進するために充てられる。

同社はこれまでインドネシアやケニアなど一部の国で規制当局から違法と指摘されるなど、法的な課題にも直面している。

しかし、AI普及に伴うデジタルID需要の高まりを追い風に、今後もグローバル展開を積極的に進める方針だ。

また、資金はネットワークの自律運営体制への移行や、認証技術のさらなる高度化にも使われる予定である。

ワールド財団の子会社World Assets Ltd.が今回のトークン販売を実施し、プロジェクトの長期成長と安定化を図っている。

市場環境と今後の見通し

Worldは2021年の立ち上げ以降、 暗号資産（仮想通貨） 市場の低迷期を乗り越えて活動を継続してきた。

今回の調達は累計で2.4億ドル（約350億円）に達し、過去最大規模の資金確保となる。

近年は人工知能（AI）技術の発展により、オンライン上で人間とAIを確実に見分ける技術の需要が一段と高まっている。

今後は法令遵守とプライバシー保護、そしてグローバルな普及拡大が重要なテーマとなるだろう。